海岸部では小さく海に突き出した所を「鼻」と呼びます。例えば熊本県牛深市近くの「コボシ鼻」
「兜鼻」「鳴瀬鼻」のように、いくつもの「鼻」が存在しています。内陸部の阿蘇にも「遠見が鼻」
と呼ばれていたところがあります。大観望です。阿蘇地方では外輪山上のでっぱりをすべて
鼻とよんでいるそうです。
その遠見が鼻、昭和7年、徳富蘇峰が「あまりにも雄大な風景に感心して」
大観望と名付けたそうです。
(大観望の看板参照)
季節が夏から秋へ移る頃、阿蘇の雲海、それも阿蘇五岳が雲の上に浮かぶ「涅槃像」が
見たくて、毎週早朝の阿蘇に通いました。僕の目の前に現れたのは……。
一回目。朝3時に出発、県道36号(熊本益城大津線)、国道57号、菊池郡大津町
ミルクロード入り口交差点からミルクロードを通って、6時前に大観望到着。道路、そして
大観望も霧。雲の間から陽が差す。雲が生まれる場所がある。
二回目。この時は国道57号阿蘇郡阿蘇町賀田入り口交差点から、県道175号を内牧へ。そして
国道212号を通って行った。6時前、まだ夜は明けていなかった。
暗闇から現れたのは、緋色の空と黒い雲。この世の始まり。
三回目。いつものように家を出る。この時はあまり期待していなかった。ちょうど波野村のそばの花が
見頃だという情報をいただいたので、花見をメインにした阿蘇行きだった。台風も近づいていたので、
あきらめてはいたのだが。光臨
とうとう四回目。「今日こそは」と祈ってみても、、、。天気は上々、気温も下がっているようで、
車のフロントガラスは曇っていた。「雲海確率60%」と呟き、いつものように3時過ぎに出発。
夜明けが遅くなっているのを感じる。見えた。
阿蘇、国道57号線の気温は10度。朝の明けるのも遅くなっている。霧が出ていた。
霧、これが雲海であろう。「今日は見ることができる」という確信。そして思った通りに
雲は下に沈んでいた。
粛々と過ぎ行く時。