竹田

竹田

竹田。

「もう歩けない」と、地面に座り込んだ。
少し涙も出た。
姉は困ったように僕の名を呼んだ。
僕はこんな空を見上げていた。

竹田にはじめて行ったのは、小学校を卒業した年。
4歳違いの姉とバスに揺られての旅だった。
空から降りてきた雲と、座り込んだ地面の間の世界、
それがちょうどいい高さで、僕には居心地がよかった。

確かあの日も、そしてこの日も、次の瞬間、数時間後には晴れ間が見えた。
それが僕をがっかりさせた。
こんな空模様のまま、地面に座り込んで、そこに止まっていたい、と思っていた。

あれからずいぶんと歩いてきたのだが、
「もう歩けない」と言って、このままここに止まっていたいと思うんだよ。
(5月30日)